
<<
前に戻る
目次へ
>
-相続税務・法務相談シート-
-生命保険有効活用シート-
提案集NET配信
|
 |
15 会社の課税所得の算出
1.課税所得計算の仕組み
課税所得は、会社の事業年度における利益を基にして、一定の税務上の加算または減算を行うことで、算出することができます。
課税所得= |
{当期利益(または損失)}+(損金不算入額)+(益金算入額)−(損金算入額)−(益金不算入額) |
2.損金不算入額
会社決算上は経費処理されますが、税務上は経費として認められないものです。
<具体例>
@ |
減価償却超過額…税務上定められた法定耐用年数を基にして、定率法または定額法等の償却方法により、計算された金額を限度として、税務上、その経費処理が認められています。したがって、会社決算において、その限度額以上の償却費を計上していればその超過額は損金不算入となります。 |
A |
役員賞与…株主総会等で役員賞与の支払時期と支給額を各人ごとに決め、決めたとおりに支払わなければ損金不算入となります。 |
B |
交際費…資本金の規模により決められた経費処理できる金額の超過額は損金不算入となります。 など
|
資本金1億円以下の法人 |
@飲食費の50%を損金算入
A定額控除限度額800万円まで損金算入
上記@とAのいずれか選択 |
資本金1億円超の法人 |
飲食費の50%を損金算入 |
(ただし、資本金の額等が100億円を超える法人は除外)
3.益金算入額
会社決算上は利益には含まれませんが、税務上所得として認識されるものです。
4.損金算入額
会社決算上は、経費処理されていませんが、税務上、控除が認められるものです。例として、資産を国などに収用等された場合に売却利益のうち一定額を控除できる制度や、過去に生じた欠損金のうち一定額を控除できる制度などがあります。
5.益金不算入額
会社決算上は利益として処理されますが、税務上一定額の控除が認められるものです。例として、受取配当等のうち一定額を控除できる制度などがあります。
課税所得計算の仕組み
区 分 |
備 考 |
当期利益
(または損失) |
会社決算書の当期純利益の金額 |
加算
項目 |
損金不算入額 |
(例)減価償却超過額、各種引当金の繰入超過額、過大役員給与等、交際費等の損金算入限度 |
益金算入額 |
(例)特定外国子会社等の留保金額の益金算入 |
減算
項目 |
損金算入額 |
(例)収用等の場合の特別控除、繰越欠損金の損金算入 |
益金不算入額 |
(例)受取配当の益金不算入、還付金等の益金不算入 |
課 税 所 得 |
|
(1) 当期利益
|
58,000千円(2018年3月決算)
|
(2) 減価償却費
|
(会社決算 1,500千円、税法上の償却限度額 1,200千円)
|
(3) 交際費
|
(会社決算 8,500千円、税法上の限度額8,000千円、資本金10,000千円)
|
(4) 損金不算入役員賞与
|
2,000千円
|
(5) 収用等の特別控除額
|
30,000千円
|
(6) 繰越欠損金の控除額 |
5,000千円 |
(7) 株主はすべて個人株主とする
|
|
(1) 当期利益…… 58,000千円
(2) 加算項目
減価償却費 減価償却限度額 交際費の額 交際費控除額
( 1,500千円− 1,200千円)+{( 8,500千円− 8,000千円)
損金不算入役員賞与
+ 2,000千円=2,800千円
(3) 減算項目
収用等の特別控除額 繰越欠損金の控除額
30,000千円 + 5,000千円=35,000千円
(4) 課税所得
当期利益 加算合計 減算合計
58,000千円+ 2,800千円− 35,000千円=25,800千円
(文責:
辻・本郷税理士法人 http://www.ht-tax.or.jp/)
|
|