金融国際化の急速な進展と将来的な金融情勢の不透明感から、わが国においても為替・金利のボラティリティが増大し、企業は為替・金利変動リスクヘッジのためにデリバティブを導入する傾向を一層強めています。今日では大手・中堅企業のみならず、デリバティブ関連商品も小口化し、中小企業においても自社のリスクヘッジニーズに合致するものとして取組む所も増えています。本書は、従来ややもするとデリバティブの解説書に見られがちだった静態的な知識偏重型の記述を極力避け、実践的な提案セールスに役立つよう解説した金融機関法人担当者必携の書です。
基礎から実践提案までを完全解説した決定版!
●豊富な図表を用いて基礎から解説
複雑で難解と思われるデリバティブも、豊富な図表を用いて、基礎的な分野から平易に解説しました。前提知識や数学知識がなくとも、読みこなせ、一読して仕組みや商品性の理解が可能です。
●提案時に役立つ事例解説
デリバティブの仕組みや理論について解説した本は数多く出版されていますが、入門書として販売者の視点にたって解説した本はほとんどありません。本書は具体的な頻出ケースを数多く収載し、提案方法を徹底的に解説しましたので実践的な商品提案力が身につきます。
●巻末のキーワード集でさらに理解を深める
巻末にはデリバティブを理解するためのキーワード集を収載しました。本書に収載した用語の基礎的な解説から、さらに理解を深めるための発展的な解説を施しましたので、本書一冊で基礎から実践までをマスターいただけます。
(目次)
Ⅰ デリバティブの仕組みと特質
デリバティブとは
1.デリバティブの特徴
2.伝統的金融取引との相違点
3.銀行・取引先にとってのメリット・留意点
デリバティブの市場規模と金融市場への影響
1.デリバティブ急成長の時代背景
2.デリバティブ市場
3.デリバティブ市場発展の影響
デリバティブのリスクコントロール
1.デリバティブのリスクとは
2.リスクコントロールの方法
3.Value-at-risk
スワップ取引の商品特性と仕組み
1.スワップ取引とは
2.金利スワップ
3.通貨スワップ
4.スワップのプライシング
5.スワップ取引のリスク
6.スワップの会計処理
7.スワップの契約
オプション取引の商品特性と仕組み
1.オプション取引とは
2.金利オプション
3.通貨オプション
4.債券オプション
5.オプションのポジション
6.オプションのプレミアム
先物取引の商品特性と仕組み
1.先物取引とは
2.債券先物取引
3.金利先物取引
4.通貨先物取引と為替予約
5.先物価格の決まり方
Ⅱ デリバティブ商品の提案方法
企業ニーズの把握とデリバティブ活用提案
1.金利変動リスクヘッジへの提案方法
2.外国為替相場変動リスクヘッジへの提案方法
デリバティブ取引とコンプライアンス
1.適合性の原則
2.重要事項等の説明
3.契約
Ⅲ ケーススタディー実践応用力を磨く事例集
●スワップ取引
1.金利スワップ取引
(1) 金利変動リスクヘッジ―定型商品の活用
(2) 金利変動リスクヘッジ―組成商品の活用
【Case 1】変動金利借入を固定金利借入に変更したい
【Case 2】固定金利借入を変動金利借入に変更したい
【Case 3】将来における固定金利を現時点で確定させたい
2.通貨スワップ取引
(1) 通貨スワップ・クーポンスワップ
(2) 円ヘッジ
【Case 1】運用ニーズにかかる外債購入の円ヘッジをしたい
【Case 2】輸出にかかる為替リスクをヘッジしたい(フラット為替予約)
(3) その他の商品
【Case 3】過去の高金利社債を借替えたい
●オプション取引
1.金利オプション取引
(1) 金利変動リスクヘッジ―定型商品の活用
(2) 金利変動リスクヘッジ―組成商品の活用
【Case 1】借入金利の上限を設定したい(キャップ付きローン)
【Case 2】預金金利の利回りを上昇させたい(キャップの売り)
【Case 3】 最低3年間の固定金利の調達を希望。3年経過後は返済に応じられるので,できるだけ低利資金を調達したい(コーラブルローン)
2.通貨オプション取引
【Case 1】将来受け取る輸出代金の円貨額を確定しておきたい
【Case 2】為替変動リスクを回避して円貨の返済金の上限を確定させたい
【Case 3】輸入債務の為替変動リスクを回避したい
【Case 4】輸出代金の受取額の変動リスクを回避したい
【Case 5】輸出債権の為替変動リスクを回避し,為替差益も追求したい
3.債券オプション取引
【Case 1】保有国債の値下がりリスクを回避したい
【Case 2】将来購入予定の国債の利回りを確保したい
●先物取引
1.金利先物取引
▼金利変動リスクヘッジ―組成商品の活用
【Case 1】将来の借入金利を確定したい①
【Case 2】将来の借入金利を確定したい②
2.通貨先物取引
【Case 1】米ドル建債権(輸出代金)の受取円貨額を確定したい
【Case 2】 インパクトローン(期間1年)の円ベースでの返済金額を確定しておきたい
3.債券先物取引
【Case 1】保有国債の値下がりリスクを回避したい
【Case 2】将来購入予定の国債の利回りを確保したい
巻末資料
デリバティブを理解するためのキーワード集
デリバティブ研究会 編
A5判・並製・288頁・平成22年9月発行