中小企業取引においてまず必要なことは、企業の実態を知り評価することです。それには対象先の決算内容を知ることが基本的アプローチですが、企業の中には決算書をきちんと作成していないケースも多いのが実態です。このような場合は、担当者が社長や従業員との面談から真の決算状況に補正する必要があります。また、相応の決算書が整っていたとしても、表れた数値が必ずしも当該企業の実態に従い表現されたものとは限らないため、画一的な指標分析をしても判断を誤るケースもあり、中小企業の担当者は取引先の決算書の裏側に潜むものを聞き取る能力が必須といえます。そこで本書は、取引先との面談により企業財務の実態を的確に把握するためのノウハウを1冊に集約した、金融機関法人担当者の座右の書として刊行しました。
中小企業の決算の真の姿が見える一冊
● 決算書のない融資先でも分析可能
大企業から入手できる経営データを10とすれば、中小企業のそれは5程度といえます。残りの5を補完するには実態面の分析が重要となりますが、それには担当者の洞察力や経験が求められます。本書は一朝一夕では習得困難なノウハウを平易にまとめました。
● 決算書分析の基本が分かる
取引先の本質を知るには、まず決算書に出てくる各勘定科目がどのようなもので、どのように変動するのかを理解し、場合によっては計数を補正する必要もあります。本書は面談観察を通じて決算書を正確に分析・修正するポイントが理解できます。
● 社長と同じ目線を持てる
中小企業融資で重要なのは企業実態を認識することであり、決算書を教科書的に分析しても実態が見えず話が進展しないことも多いものです。本書は取引先と金融機関双方の目線を捉え、面談のポイントをまとめましたので、中小企業財務の実際がわかります。
佐野修一/平井謙一 著
A5判・並製・240頁・平成22年11月発行