金融円滑化法により一時的な資金繰り難を逃れた中小企業は多数ありますが、抜本的な再建には至らず倒産する企業も散見され、「隠れ不良債権」の存在はもはや無視することはできない局面を迎えています。条件変更を申出た企業1,653千社のうち83.9%が金融円滑化の恩恵を受けましたが、その半数以上は再建計画に難がある先・計画未策定先といわれ、12月、3月危機が囁かれています。そのため営業店では融資先の変化を早期に発見し、直ちに継続支援あるいは保全強化を図り、新たな不良債権発生を防ぐ態勢を築くことが喫緊の課題となっています。本書は貸出業務の中でも取扱いが難しい債権管理・回収業務について、想定ケースをふんだんに用い平易に解説した、営業店の初動対応に資する最適の実務書です。
営業店の隠れ不良債権対策に効果あり!
●実務での倒産兆候発見ノウハウ満載
倒産兆候を発見するには、融資先の些細な変化であっても見逃さないことが重要です。本書は当座や割引手形の動きなどの取引振りや、面談観察・聞き込みなどから見える金融機関への取引姿勢のちょっとした変化から、融資先の倒産兆候を見抜くノウハウを満載しました。
●実践的切り口による保全強化策を解説
本部や上司は一口に「保全強化」といいますが、担保余力のある中小企業は限られており、担当者が実行するには困難を極めます。本書ではより担当者が着眼できる実践的な切り口から保全強化策を採り上げました。
●時系列現象面から回収手段を詳解
回収には、高度な法律知識・実務知識が必要であり、難解な解説書が多いですが、本書はそのような図書にありがちな法律面から項目を羅列するのではなく、時系列による現象面に注目し、初期の書類・担保の点検、督促の準備から強制執行、整理への参加まで、より平易に回収の実務ポイントを詳解しました。
(主要目次)
Ⅰ章 取引仕振り
(1) 当座取引の動き
(2) 割引手形の動き
(3) 借入申込時の動き
(4) 後向き資金の申込
(5) 事後管理
Ⅱ章 徴求書類
(1) 銀行取引に対する経営姿勢
(2) 決算書に現れる兆候発見
Ⅲ章 面談観察
(1) 観察による兆候発見
(2) 聞き込みによる兆候発見
Ⅳ章 担保の補強
(1) 債務者企業
(2) 債務者企業の関連先
(3) 個人事業主
(4) 役員・個人事業主の親族
(5) 保証人・物上保証人
Ⅴ章 追加保証
(1) 個人の追加保証
(2) 法人の追加保証
Ⅵ章 融資の見直し
(1) 商手枠の減額
(2) 貸付金の減額
(3) 期間の短縮
Ⅶ章 回収の準備
(1) 書類・担保の点検
(2) 期限の利益喪失
(3) 督促の準備
(4) 差引計算の準備
(5) 手形債務者からの回収の準備
(6) 第三者からの回収の準備
(7) 債権譲渡および債務引受
(8) 任意処分による担保からの回収の準備
(9) 強制手段による担保からの回収の準備
(10) 強制執行の準備
(11) 整理手続への参加
(12) 債権者集会の対応
大平 正 編著
A5判・並製・256頁・平成23年9月発行