日常の与信業務においてコンピュータによる財務分析が主流となっています。しかしその結果、分析結果として算出された数値の裏に潜む落とし穴が見出せず貸金を実行し、結局回収できないといったケースが増えているようです。つまり、計算自体はコンピュータに任せるとしても、その分析結果を判断する能力は、従前と変わらず金融機関の担当者側に求められており、特に経済環境が激変する昨今では、そうした能力はより求められるようになっているといえるでしょう。
本書は、与信判断に欠かせない財務分析の比率や算式を体系的に学習できるよう構成した基本書です。「最新版」への改訂では、企業の実態判断をする際に特に重要になっている「キャッシュフロー分析」に関する財務諸表につき新章を設けて詳しく解説しました。これからの財務分析能力習得のための決定版として、お勧めいたします。
財務分析の根幹部分を図解・イラストでわかりやすく伝授
●各比率を有機的・系統的に学習可能!
財務指標を求める各算式には、「算式の意味」だけでなく、必ず「評価」と「チェックポイント」を設けましたので、短時間で要点が把握できる内容構成となっています。また、すべての項目に「関連比率」を掲載しましたので、系統的な学習ができます。
●コンサル機能発揮への第一歩!
近年求められている「融資先へのコンサルティング機能の発揮」とは、企業の経営上の問題点を正しく把握し、その問題点把握をベースに利益計画、資金計画、付加価値計画等に対し助言などを行うことに他なりません。この問題点把握のためには財務分析の技法が非常に重要です。その意味では中堅の方にとって、再度原点に立ち返った学習をするうえで最適の一冊です。
●キャッシュフロー分析指標を追加
ますます重要になるキャッシュフロー分析関連で、収益性・流動性・企業価値のそれぞれを分析する観点から18の財務指標を新たに追加しました。
はしがき
序章 財務分析とは
1.企業会計と財務諸表
2.財務分析の目的,対象
3.財務分析の手法
1章 収益性・損益の分析
1.資本利益率
2.売上高利益率
3.売上高費用率
4.その他の比率
5.回転率
6.損益分岐点
7.利益増減分析
2章 流動性・収支の分析
1.財務構成
2.回転期間
3.資金収支
3章 キャッシュフロー分析
1.キャッシュフロー計算書
2.収益性関連指標
3.流動性関連指標
4.企業価値関連指標
4章 生産性・付加価値の分析
1.生産性
2.付加価値
3.労働生産性
4.資本生産性
5.分配率
和井内清 著/山坂サダオ 絵
A5判・並製・304頁・平成17年6月発行