コロナ禍は多くの中小企業に少なからぬ影響を与えました。一時期の「需要蒸発」「サプライチェーンの破綻」、さらにはポストコロナ・ウィズコロナでの「ニューノーマル」等により、従来路線では売上や利益の確保がままならなくなっています。また、緊急避難的な資金繰り支援を受けた結果、予期せぬ過剰債務を抱え込んだと言える企業の場合、今後キャッシュフローが回復しても過剰債務の返済の目途が立たないという企業もあります。したがって、今後は経営支援の考え方も変えていく必要があると言えます。
そこで本書はポストコロナ・ウィズコロナの経営環境での経営支援に向け、中小企業に対する経営支援の考え方を改めて整理しました。金融機関の専門分野であり、法人担当者への期待の高い「財務」に着眼した支援の考え方、経営面を中心にした「伴走支援」の具体的着眼点、再生支援のプロジェクトマネージャーが示唆する支援のあり方、などを分かりやすくまとめました。
中小企業の支援現場から見えるあるべき姿とは?
●金融機関に期待される財務体質是正支援
ポストコロナの経営環境に直面し、さらに、予期せぬ過剰債務も抱えるに至った中小企業にとって重要なことは、「サスティナブルな財務体質への是正」となります。金融検査マニュアル下で歪な資金調達を行っていた企業も多く、財務体質の是正は金融機関に期待される支援です。
●サスティナブルな伴走支援の具体論
経営環境の変化スピードが速い現在では、一時的な経営改善支援では不十分であり、「サスティナブルな経営支援」である伴走支援が非常に重要です。本書は「知的資産経営報告書」「経営デザインシート」「ローカルベンチマーク」を活用した、新時代に求められる伴走支援の具体策を詳しく解説します。
●支援のプロによる金融機関への期待
実例を基に、経営支援のプロが支援の現場で感じた「思い」もまとめました。金融機関の担当者が「再生の現場でどのように映っているか」を知ることで、経営支援とはどのように取り組むべきなのかを、改めて認識することができます。
■株式会社かがやき 監修/寺岡雅顕・藤井健太郎・樽谷祐一 著
A5判・並製・232頁・2022年11月発行