2009年(2010年3月期)から、いよいよわが国にも国際会計基準が導入されることになりました。数年内に義務付けは必至とみられ、日本の会計基準は今後ガラッと様変わりすることになります。事業損益だけでなく資産価値の増減を加えた「包括利益」の採用、資産の徹底した時価評価などに象徴される会計制度の変革は、企業の業績評価の尺度ばかりか、日本企業の経営のあり方を根本的に変えてしまうとみられており、IFRS(国際財務報告基準)は金融マンにとって早急にマスターすべき必須知識と言っても過言ではありません。
本書は、こうしたIFRSをめぐる近年の内外の動向に焦点をあてて、日本基準との違いは何か、ビジネスへの影響や導入準備はどうなるのかなど、金融機関職員向けに実務上の疑問をQ&A形式で図表等を活用しながら、わかりやすく解説したIFRS(国際財務報告基準)入門書の決定版です。
IFRS(国際財務報告基準)がすぐわかる
●日本基準との違いを徹底解説
利益表示(経常利益なし、包括利益を表示)、収益認識(出荷基準の見直し)、固定資産(時価評価)、M&A(のれん代の非償却)など、日本基準とは大幅に異なるIFRSの違いと特徴を浮き彫りにしました。
●ビジネスへの影響など、実務中心の構成
本書は、会計基準変更による企業へのインパクトを予測するとともに、執筆陣に気鋭の実務家(公認会計士)を加え、企業が導入する際の留意点など、金融マンが知っておきたいポイントを数多く項目として取り上げ構成しました。
●金融マン・ビジネスマンが短時間で修得
会計専門家ではない読者を想定し、表現は分かりやすさを追求。39の項目立て、40点に及ぶ図表・イラストでコンパクトに解説しましたので、多忙な金融マンでも短期間で読みきることができます。
第1章 国際会計基準がやってくる
―世界はコンバージェンスからアドプションへ-
1.国際会計基準をめぐる状況と日本
2.国際会計基準はなぜ必要とされるのか?
3.IFRS(国際財務報告基準)に対する支持拡大の背景
4.EU(欧州連合)の同等性評価とは
5.IASBと米国FASBとのMOUとは
6.コンバージェンスへ向けた日本の動向
7.コンバージェンスとアドプションとはどこが違うのか?
8.なぜ世界はアドプションへ向かうのか?
9.米国も国際会計基準を導入へ
10.アドプションへ向けた日本の取組み
11.財務報告の技術的規格も統一へ-XBRLの動向
第2章 国際会計基準(IFRS)はどのような基準か
―日本基準との相違点―
12.いわゆる国際会計基準とは何か?
13.IASBの機構とデュープロセス
14.IFRSの特徴
15.ピュアIFRSとその他のIFRS
16.IASBの概念フレームワークとは
17.収益認識―出荷基準の見直しは必要か?
18.固定資産―固定資産も時価評価の対象に?
19.無形資産―開発費の資産計上も
20.M&Aの会計処理―パーチェス法への一本化とのれんの非償却
21.連結会計―企業グループは誰のもの?
22.人件費―金銭以外の支給形態にも要注意
23.金融商品―厳格化するヘッジ会計と開示基準
24.利益の概念―IFRSの2つの利益
25.セグメント情報―マネジメント・アプローチとは
26.財務諸表の注記―情報開示の拡大
27.IASBのプロジェクト―進化し続けるIFRS
第3章 国際会計基準採用で日本の経営はどう変わる
-IFRS採用が日本企業へ及ぼす影響-
28.IFRS採用による財務数値への影響をどのように予想するか?
29.原則主義により企業の会計処理の裁量は拡大するか?
30.二重帳簿は必要か?
31.IFRS導入は経理部門だけの問題か?
32.IFRSの導入は企業経営にどのように影響するか?
33.企業の業績の説明はこう変わる!
34.IFRSの導入において先行した欧州の評価はどのようなものか?
35.企業はいつからIFRS導入の準備を始めるべきか?-初度適用の留意点
36.IFRS導入に向けた企業の対応は-IFRS導入プロジェクトの展開例
37.IFRS導入プロジェクトを成功させるために-プロジェクト遂行上の留意点
38.IFRS導入のメリットを活かすためには
39.IFRSへの対応が求められるのは企業だけ?
橋本 尚(青山学院大学 会計プロフェッション研究科 教授)編著
A5判・並製・160頁・平成21年4月発行