近年、金融機関のコンプライアンス態勢は格段に向上したと言われていますが、金融庁から受けた内部管理態勢に関する業務改善命令や業務停止処分の件数は相当数に上ります。金融業界には、世間を驚かせるほどさまざまな不祥事件の歴史があり、現在もその発生リスクは完全には払拭されていません。なぜ不祥事は起きるのでしょうか。本書は、実際に発生した不祥事件を再現することで、その発生原因や背景、動機、環境などを浮き上がらせました。金融機関経営幹部や管理者にとっては、その役職上求められる管理上の留意点を過去の事案から一挙に学ぶことのできる恰好の一冊です。
過去の事件から明日の管理ポイントを学ぶ!
●管理上の盲点・死角を解明
不祥事件の手口はさまざまであり、いつも事件が起こった後になって「なぜ防げなかったのか?」という疑問が繰り返されます。本書は、過去の不祥事件を題材に現代の管理職に求められる管理の要諦、不祥事防止のポイントを明らかにします。
(目次)
第1話 ベテラン女子行員が起こした計画的横領事件
第2話 信頼篤い役席者が起こした証券偽造等による巨額横領事件
第3話 野放しトレーダーが起こした巨額損失事件
第4話 支店長らによる巨額預金証券偽造事件
第5話 都市銀行行員による顧客殺人事件
第6話 派遣行員による巨額着服事件
第7話 特別保証制度を利用した自行プロパー融資の旧債振替
第8話 採用担当者による個人情報の悪用事件
第9話 頭取が目論んだ不祥事隠蔽事件
第10話 女子職員によるATM現金着服事件
第11話 退職行員による偽造キャッシュカード現金引出事件
第12話 理事が犯した巨額詐欺・横領事件
第13話 内部牽制機能の不備が招いた支店長の不祥事件
第14話 真面目で優秀な若手女子行員が起こした巨額横領事件
井上 享 著
B6判・並製・208頁・平成21年5月発行