中小企業の経営環境が厳しい中、金融庁は中小企業融資に関し、貸出条件緩和債権の解除要件拡充のため、監督指針及び金融検査マニュアル別冊を改定し、条件緩和先の再建計画について「概ね3年後に正常先」を「概ね5年ないしは10年後に正常先」と緩和しました。また、金融円滑化法は金融機関に積極的な条件変更に応じるよう努力義務を設け、条件変更実務に大きな役割を果たす再建計画書の重要性を一層高めました。金融機関には、実現可能性の高い抜本的な再建計画書を取引先と共に作成する能力及びそれを見極める能力という経営支援が益々問われています。そこで本書は、検査マニュアル別冊記載の再建計画作成事例を規範として、要管理先・破綻懸念先等の再建計画書の作り方・見方を、債務者区分別及び業種別にケーススタディ形式で解説しています。
条件緩和解除のための再建計画策定ノウハウを公開
●債務者区分/業種別に30事例を収載
貸出条件緩和先の再建計画書策定は、企業規模や債務者区分、あるいは業種によって、アプローチや深度に違いがあります。そこで、零細・小企業/中企業・中堅企業の企業規模別、要管理先/破綻懸念先等債務者区分別、製造/卸・小売/サービス/建設・不動産の業種別に、計30事例を収載しました。
●貸出条件緩和債権解除の着眼点を明確化
条件緩和解除の要件は、当該企業の再建計画書が「実現可能性の高い抜本的な(合理的かつ実現可能性の高い)」ものであることです。本書は各事例における抜本性(合理性)及び実現可能性を担保する着眼点を明確に記し、画餅とならない実効性ある計画策定の勘どころを解説しました。
●金融実務に明るい事業再生の専門家が執筆
一口に再建計画書作成といっても簡単にできるものではなく、事業再生における的確なデューデリジェンス及び精緻な再建計画書作成のノウハウが必要です。本書は事業再生の専門家として経験豊富かつ金融実務に明るい執筆陣が構成しました。
(主要目次)
序 章 貸出条件緩和を円滑に行うための措置と経営改善計画書策定
第1章 零細企業・小企業 編
第2章 中企業・中堅企業編
中村中/久保田博三/渡邊賢司 編著
A5判・並製・296頁・平成22年2月発行