貸出条件の緩和により、数多くの中小企業の資金繰りは一時的にせよ落ち着きを取り戻しましたが、慢性的な不況が続くなかで再建計画が挫折し、リスケ後の「二次破綻」が懸念されています。金融機関にとっても、せっかくのリスケが単なる延命策にとどまっていると、保全状況によっては、貸倒損失がリスケ前に比べて増加するおそれがあります。
そこで求められるのは、厳格な期中管理であり、万一の場合の適切な回収ノウハウです。本書は、申出時の対応から保全の検討・強化、債務者の兆候変化時の対応、回収における留意事項等、107項目をQ&A方式で解説した営業店法人・融資担当の必携書です。
営業店で今すぐ必要な管理・回収のノウハウ満載
●返済猶予先の返済再開が続々到来
貸付条件の変更実績は10年3月時点で36万件超に及び、現在50万件超と言われています。返済猶予期間は6カ月~1年をめどに設定されており、今まさにリスケ案件の二次破綻が懸念され、厳格な債権管理および適切な回収準備が必要になってきています。
●貸出条件緩和フローに沿い107の解説を収載
本書は、貸出条件変更の申出から実行、モニタリング、兆候変化の発見、回収といった円滑化対応の段階に沿って107項目にわたり、適切な考え方と実務を簡潔・平易に解説しました。
●円滑化法下の管理・回収実務の妥当性等に踏み込んだ解説
円滑化法対応下では、回収行動への切替え、すなわち期限の利益をいつの段階で喪失させるのか等について、さまざまな検討・疎明が要求されます。本書は、このような判断に迷う問題にも踏み込みました。
(主要目次)
序 章 返済猶予と適切な期中管理・回収手段の検討
第1章 「金融円滑化法」と条件緩和債権
第2章 「返済猶予」等の条件緩和の申出
第3章 「返済猶予」等の条件緩和の実行に備えて
第4章 「返済猶予」等の条件緩和債権の事後管理
第5章 貸出条件変更後の担保・保証の変更変動
第6章 回収の実務
第7章 不良債権の整理
金融円滑化法実務研究会 編
A5判・並製・304頁・平成22年9月発行