環境と金融の接点は時を追うごとに緊密なものとなり、環境リスクに配慮した金融、環境保全への取組みに資する金融がいま問われています。例えば、融資業務では環境リスクが信用リスク管理の重要なファクターの一つとなっています。すなわち、金融機関が融資するにあたって、それが対象企業にとって環境面でどのような関連を持っているか、環境負荷を増やすことにならないか、環境負荷削減のための投資か、あるいは環境の改善・保全の促進に資する商品・サービス開発・販売のための資金かを検討、審査する環境リスクアセスメントが重要視されているのです。そこで本書は、金融機関の行動ないし金融マーケットが環境問題の改善に向けて大きく貢献するために必要なものは何かを、環境と金融の接点から総合的に解説しました。次世代金融マーケットを担う人材の必携書です。
環境ビジネスへのビジネスチャンスを探る一冊
●環境と金融の四大テーマを網羅
本書では、環境に密接に関わる金融ビジネスとして、「金融機関の投融資と預金」、「原油と電力マーケット」、「排出量の取引市場」、「天候デリバティブ」の四つのテーマを中心に、金融機関がどのようにビジネス展開できるのかを明らかにしました。
●従来ビジネスの延長線上にある「環境」
伝統的な金融ビジネスに環境の視点を織り込むということは、環境問題に対しこれまで金融が培ってきた技術を適用することが主眼となります。本書は従来の金融実務の延長線上にある「環境金融」の今後の姿を明らかにします。
●「環境ビジネス」の融資判断材料に
国内経済は低迷が続き融資増強は困難なミッションですが、成長産業と捉えられている環境関連企業は融資開拓先として有力視されています。ただし、環境分野は未来予測が困難な業種であるが故に、最低限の知識と目利き力が必要です。本書は環境関連企業への融資判断のヒントとしてもご利用いただけます。
<目 次>
第1章 環境と金融のコラボレーション
1 環境問題と金融機関の社会的責任(CSR)
2 環境と金融機関行動
3 環境とBIS規制
4 環境とディスクロージャー
第2章 エネルギーマーケット
1 原油取引と原油デリバティブ
2 電力自由化と電力マーケット
第3章 環境問題と排出権取引
1 京都議定書と京都メカニズム
2 排出権取引
3 欧米の排出権取引市場
4 日本の排出権取引
第4章 天候リスクと天候デリバティブ
1 天候リスクとビジネス
2 天候データの重要性
3 天候デリバティブ
4 欧米の天候デリバティブ市場
5 わが国の天候デリバティブ
6 天候デリバティブ市場の今後の展開
可児 滋 著
A5判・並製・272頁・平成23年1月発行