与信判断業務は稟議書を通じて展開されており、正しい稟議制度の理解と同時に稟議書の記述の仕方を習得していなければ、貸出案件処理の「クイック&レスポンス」を実現することはできません。しかし、取引先の実態を十分に伝えていなかったり、起案者の主体性のある意見が反映されていない、あるいは、ただ取引先の希望を取り次ぐだけといったように、客観的な判断を下せるだけの材料が稟議書に適切に記載されていなければ、審査担当者をはじめとする稟議決裁者の判断を誤らせる可能性があります。本書では、以上のような問題を解決する具体的技法を習得できるよう、①貸出案件の採上げから貸出実行まで実務処理に即しての留意点、②稟議項目及び稟議書付属書類の具体的作成方法、③稟議書の実際例から「良い稟議書」の記述方法、④貸出稟議書を通して的確に判断できる「技」と「眼」を養成する記載内容のチェック方法等について、基礎から実践レベルまでの内容を解説しました。
融資業務担当者必読書の最新改訂版
●悪い稟議書を良い稟議書にするために
本書では貸付経験の浅い担当者が作成してしまいがちな「悪い稟議書」の具体例を挙げ、貸出基本条件を完備した「良い稟議書」となるために必要な項目・表現・意見の書き方を具体例に沿って解説し、実践的に役立つ記載としました。
●電子稟議システムの弱点をフォロー
今日では電子稟議システムの導入により、付属書類が自動的に作成されるなど迅速性が高まった一方で、書類の中身を十分検討しない稟議書も増えています。本書では基本に立ち戻り、付属書類の作成の仕方から着眼点まで詳細に解説しました。
●稟議書作成スタンスの変化にも対応
良質な貸金発掘など、貸出案件採上げに際して稟議書の作成スタンスは常に変化していきますが、貸出稟議書を通して的確な判断を下せる技と眼を養えるよう、本書では、貸出稟議書の作り方に加えて、記載内容のチェック方法、問題点の発見方法、格付と与信判断の関係なども、併せて解説をしました。
(主要目次)
第1章 貸出業務と貸出稟議書
1 貸出稟議書とその役割
2 貸出稟議の種類
3 電子稟議システム
第2章 借入申込みの受付けから稟議まで
1 貸出判断力の養成
2 得意先係の貸付案件の採上げ方
3 既取引先が来店して、追加借入の申込みがあった際の融資係の心得
4 提案型融資の場合の稟議
5 ニュービジネス案件の場合の稟議
6 動産担保(ABL)による貸出稟議
第3章 貸出稟議書の作り方
1 一般的記載事項
2 貸出稟議書作成にあたっての一般的留意事項
3 付属書類としてはどのようなものがあるか
第4章 貸出稟議書各項目の具体的な記述の仕方
1 借り主、科目、金額、期限
2 資金使途、返済財源、返済方法
3 保全、金利等
4 営業店意見の記述例
第5章 貸出金の資金使途別にみた分析のポイント
1 資金使途別の分類
2 主な資金使途分析の着眼点
第6章 貸出稟議書付属書類の作成の仕方
1 取引先概要表
2 財務調書の作成
3 資金繰表
4 資金運用表
5 資金移動表
6 キャッシュフロー計算書
7 設備計画概要表
8 経常運転資金概要表
9 決算資金概要表
10 担保物件表
11 取引状況表
12 借入金残高推移表
13 保証人調査書
14 その他付属書類
第7章 良い稟議書と悪い稟議書
1 「良い稟議書」の必要条件
2 「良い貸出稟議書」作成の実際例
3 面談時から貸出稟議書作成は始まる
4 「資金使途妥当性」の表現の仕方
5 顧客との折衝に基づく貸出稟議書
6 良い貸出稟議書作成のコツとポイント
第8章 貸出稟議書の見方
1 記載内容のチェック
2 問題点の抽出
3 格付と与信判断との関係
第9章 承認から実行まで
1 貸出条件と承認条件
2 貸出決定後の変更と異例扱い
銀行研修社編
A5判・並製・248頁・平成23年11月発行