融資担当・渉外担当の仕事で一番困るのは、せっかく入手した企業の決算書が“粉飾”されている場合です。このカラクリを見破るには簿記・財務分析の高度なテクニックが必要だとする考え方が通例でしたが、本書は、そのカベを見事に克服し、初心者でも「面白く読んですぐわかる」ように、多数の企業の決算処理を受け持っている著者が、具体例を挙げて、より易しく解説した画期的な内容です。
面白く読んで「粉飾」のカラクリがすぐわかる!
●決算書に経営者の姿勢が現れる!
B/Sの尻は未処分利益、剰余金、P/Lの尻は利益処分と経営者の姿勢を見る格好の数字です。また、計画的な粉飾でなくとも堅めの決算か柔らかめの決算かを見抜くことは、取引先の深耕・開拓に大きく影響します。とくに、中小企業や自営業者との取引方針を決める唯一の手掛かりとなります。
●貸借対照表は資産の過大に注意!
実態は赤字なのに決算書では黒字という数字の捏造は、概して資産の過大計上、負債の過小計上にあります。計画的な不正決算か経理基準の甘さに起因するかは別として、そのカラクリを「一読して見抜ける」ノウハウを本書はわかりやすい事例を挙げて解説しました。一方、含み資産などの取引推進のネタ探しについても言及しています。
●損益計算書は経常利益の過程を見よ!
企業のバイタリティは「経常」に現れます。それは売上高だけではありません。営業利益、経常利益の順にみて融資に際しての金利負担能力の推察もつきます。特別損益の項目でいくら利益をあげても、それは企業の実力ではありません。本書は、これらの勘定科目に記された数字の裏に潜むさまざまな問題点を具体的な事例を挙げて解説しました。
●研修テキスト、自己啓発に最適!
本書は決算書を素材に事例により解説をしているので、職場の研修テキストや初心者の入門書、ベテランの復習に最適です。また、新会計制度のポイントも解説してあるので、制度改革の学習にも最適です。
序 甘い決算・辛い決算
第1章 貸借対照表をタテ・ヨコ・ナナメから読む
1 決算書とは
2 貸借対照表と損益計算書
3 流動資産・固定資産とは
4 割った手形はどこにある
5 大切な資産・売掛金
6 貸倒引当金とは
7 大切な資産・たな卸資産
8 有価証券の中身
9 費用を前払いしても資産
10 仮払金も堂々と資産に登場
11 償却は十分?
12 土地の含み
13 建設途上の資産
14 無形の資産
15 積極的な投資と消極的な投資
16 はたして資産?
17 無借金会社でも負債が存在
18 引当金をはじめとするさまざまな負債
19 資本金は会社の大きさを表すか
20 法定準備金
21 利益剰余金とは、欠損金とは
22 債務を保証しているかどうか
第2章 損益計算書を読む
23 損益計算書のしくみ
24 いわゆる売上とは
25 売上原価を計算する
26 売上原価は柔軟に動く
27 俗にいう経費とは
28 交際費はいろいろな科目に散っている
29 未払の経費をしっかり拾っているか
30 営業利益がひとつの区切り
31 注目のマト“経常利益”
32 特別損益にはくれぐれも注意
33 最後に税金を差し引く
34 損益計算書を分析する
35 もしも別表四をみることができたなら
第3章 株主資本等変動計画書を理解する
36 資本金・資本準備金とは
37 剰余金の配当とは
38 利益準備金とは
39 その他利益剰余金とは
40 株主資本等変動計算書のしくみ
41 株主資本等変動計算書の記入例
第4章 グローバルスタンダード
42 連結決算
43 税効果会計
44 キャッシュ・フロー計算書
45 時価会計
46 研究開発費の会計処理
47 退職給付会計
齋藤 幸司 著
A5判・並製・270頁・11版・平成19年9月発行