債権法改正Q&A ----金融実務の変化に完全対応----
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民法(債権法)が120年ぶりに大改正され、2020年4月1日に施行されます。金融機関の実務は民法の規律や解釈を前提に動いており、改正法施行により日常実務は大きな影響を受けることとなります。注目される「個人保証の制限の強化」「定型約款に関する規定の新設」「消滅時効の期間の変更」以外にも大きな改正ポイントは数多くあり、金融機関の役職員としては、少なくとも金融実務に影響を与える改正内容を把握し、自身の業務がどう変わるのか、どのように対応すべきかを理解しておく必要があります。
本書はこうした「変わる金融実務」に焦点を当て、多忙な営業店担当者でも自身の業務に影響する債権法改正の要点がすぐに理解できるよう編集しました。改正法立案担当者による改正趣旨等解説も完全反映させた、改正債権法対応書の決定版です。
改正債権法による実務の変化を理解するための決定版!
●金融実務のジャンル別に変更点を解説
預金取引・融資取引・保証契約・金融商品販売などといった金融機関の代表的業務別に、改正債権法で影響を受ける実務を抽出しているのが本書最大の特徴です。法改正により金融実務の「何が変わるのか」「変わらないのか」「どのように対応すべきか」に絞って、改正法を理解することができます。
●金融機関の規定改定の根拠が理解できる
民法は金融取引の根幹となる法律であり、金融機関の各種規定の取扱いは民法に基づいています。今回の改正でこれら規定の改定が進むことになりますが、本書により改正法のポイントを押さえておくことで、規定改定の内容を十分理解し、適切な実務対応に結実します。
●改正法立案担当者の趣旨解説を反映
本書は改正法成立直後の情報から、改正法立案担当者が編纂した改正法に関する解説書の内容及び編者が実務家サイドとの相談事案も踏まえ、一歩踏み込んだ実務的解説を補強しましたので、改正法理解のための決定版と言えます。
(主要目次)
第1章 改正法の概要
Q1 金融機関の業務に与える影響が大きい改正項目
改正民法のうち、金融機関の業務に与える影響が大きい改正項目は何でしょうか。
Q2 定型約款
大きな改正項目として定型約款についての規定が設けられたとのことですが、どのような内容でしょうか。
Q3 金融取引と定型約款
金融取引における各種契約のうち、定型約款に該当するもの、該当しないものは何でしょうか。
Q4 改正民法の施行時期
改正民法はいつから施行されるのでしょうか。それまでにどのような準備を進めていけばよいのでしょうか。
Q5 経過措置
経過措置とは何のためにあるのですか。
第2章 預金取引に生じる影響
Q6 預貯金債権に関する規定
預貯金債権について、新たに設けられた規定について教えてください。
Q7 約款変更の手続
預金規定等の約款類を変更する際にどのような手続が必要でしょうか。
Q8 法定利率に関する改正
法定利率について改正がなされたとのことですが、実務への影響はありますか。
Q9 法定利率の変動の仕組み
法定利率が変動利率になるとのことですが、法定利率はどのように変動するのでしょうか。
Q10 預金口座への振込による弁済の効力に関する改正
預金口座への振込による弁済の効力について、改正民法はどのように規定していますか。
Q11 債権の準占有者に対する弁済に関する改正
誤って第三者に対して行った預金の払戻しが有効と認められる要件が明確化されたとのことですが、その内容を教えてください。
Q12 定期預金の期限前解約に関する改正
定期預金の期限前解約について民法改正によって何か影響があるのでしょうか。
Q13 預金債権の債権譲渡
預金者が金融機関の承諾なく預金債権を譲渡してしまうことはありえますか。
Q14 為替取引への影響
為替取引にはどのような影響があるのでしょうか。
Q15 通知の到達時期に関する改正
相手方への通知の到達時期についてどのような改正がされたのでしょうか。
第3章 融資取引に生じる影響
Q16 金銭消費貸借契約の法的性質
改正民法では、諾成的金銭消費貸借契約が明文で規定されたと聞きました。その内容を教えてください。また、実務に与える影響はあるのでしょうか。
Q17 貸付実行前の法律関係
貸付実行前に借入人から「借入を受けないことにした」との連絡がありました。どのような対処ができますか。
Q18 期限前弁済における手数料
貸付先が期限前弁済を希望した際の既定の手数料収受について何か影響はありますか。
Q19 相続人代表からの弁済
債務者の相続人代表から弁済を受ける際に留意すべきことは何でしょうか。
Q20 弁済による代位の効果
弁済による代位の効果について、法改正による影響はありますか。
Q21 担保保存義務
貸付先から一部弁済や担保変更等を受けようとする場合の留意点について法改正を踏まえて教えてください。
Q22 債権譲渡全般
債権譲渡については、どのような改正がされたのでしょうか。
Q23 譲渡禁止特約
譲渡禁止特約の効力が変わったということですが、その内容を教えてください。
Q24 異議をとどめない承諾による抗弁切断制度の廃止
異議をとどめない承諾による抗弁の切断の制度が廃止されたとのことですが、その理由はどのようなものでしょうか。また、実務上の対応としてどのようなものが考えられるでしょうか。
Q25 債務引受
債務引受が明文化されたとのことですが、その内容を教えてください。
Q26 債権者代位権に関する改正
改正民法では債権者代位権による債権回収が困難になるおそれがあるとの話を聞きました。法改正の概要について教えてください。
Q27 詐害行為取消権に関する改正
改正民法では詐害行為取消による債権回収が困難になるおそれがあるとの話を聞きました。法改正の概要について教えてください。
Q28 改正民法における詐害行為取消の要件
改正民法における詐害行為取消の要件について教えてください。
Q29 詐害行為取消権行使の効果
詐害行為取消訴訟を提起して勝訴した場合の効果を教えてください。
Q30 相殺に関する改正
相殺による貸金債権の回収の局面で法改正の影響はありますか。
Q31 連帯債権に関する規定の新設と連帯債務の改正点
「連帯債権」に関する規定が新設されたとのことですが、どのような内容でしょうか。また、「連帯債務」に関する改正の概要について教えてください。
Q32 連帯債務者の一人に対して生じた事由の他の連帯債務者への影響
連帯債務者の一人に対して生じた事由(履行の請求、時効の完成及び債務免除など)は、他の連帯債務者に対してどのように影響するのでしょうか。
Q33 連帯保証人または主たる債務者に生じた事由の効力
主債務者に生じた事由(履行の請求や時効の完成、債務免除など)は、連帯保証人に対してどのように影響するのでしょうか。逆に、連帯保証人に生じた事由は、主債務者に対してどのように影響するのでしょうか。
Q34 消滅時効の時効期間
債権の種類によって消滅時効の時効期間が短くなるものがあると聞きました。どのような改正がなされたのでしょうか。
Q35 消滅時効の時効障害制度
消滅時効の進行や完成を妨げる事由について大幅な法改正が行われたと聞きました。どのような改正がなされたのでしょうか。
第4章 保証契約に生じる影響
Q36 個人保証の制限の強化
個人保証の制限が強化されたとのことですが、どういうことでしょうか。
Q37 個人保証の際の公正証書作成
個人保証については事前に公正証書を作成しなければならない場合があるとのことですが、どのような手順で進めればよいでしょうか。また、保証契約締結後に公正証書を改めて作成する必要がある場合はありますか。
Q38 「事業のため」の意義
公正証書による保証意思確認の対象となる「事業のため」に負担した貸金等債務とはどのようなもので、どのように該当性を判断するのでしょうか。
Q39 理事・取締役等に「準ずる者」の意義
公正証書による保証意思確認ルールの例外となる、主債務者が法人である場合の理事、取締役または執行役に「準ずる者」とは具体的にはどのような場合を指すのでしょうか。
Q40 「共同して事業を行う者」の意義
公正証書による保証意思確認ルールの例外となる、「共同して事業を行う者」とは具体的にはどのような場合を指すのでしょうか。
Q41 アパートローンへの個人保証制限の適用
アパートローンの保証についても個人保証の制限の適用はありますか。
Q42 主債務者の情報提供義務
法改正後は保証契約締結時に主債務者が保証人に対して情報提供しなければならなくなると聞きましたが、その内容を教えてください。
Q43 債権者の情報提供義務
改正民法下において、債権者は、保証人に対してどのような情報提供を行わなければならないか教えてください。
Q44 個人根保証
改正民法では個人根保証に関する規制の適用対象が拡大されているとのことですが、その内容を教えてください。
第5章 金融商品取引やその他付随業務に生じる影響
Q45 定型約款と保険
保険商品の窓口販売において使用する「約款」について、定型約款に係る改正民法の規定が適用されるのでしょうか。
Q46 定型約款と投資信託約款・目論見書
窓口販売を行う投資信託の投資信託約款には定型約款に関する改正民法の規定が適用されるのでしょうか。
Q47 金融取引と錯誤・詐欺の主張
金融商品の販売を行った顧客から、契約締結が錯誤または詐欺によりなされたものだとして契約の効力が争われています。錯誤や詐欺についての改正で注意すべき点はありますか。
Q48 M&A関連業務への影響
M&Aに関する業務について、法改正による影響はあるのでしょうか。
Q49 貸金庫取引への影響
貸金庫取引に法改正による影響はあるのでしょうか。
第6章 協同組織金融機関への影響
Q50 民法改正による協同組織金融機関の業務への影響
民法改正により、信用金庫や信用協同組合などの協同組織金融機関が行う業務に影響はあるのでしょうか。
Q51 出資金の返還債務と貸付金の相殺
出資金の返還債務を貸付金と相殺することがありますが、今回の民法改正による影響はあるのでしょうか。
第7章 その他重要な改正
Q52 意思能力、行為能力、及び公序良俗違反に関する改正
意思無能力者・制限行為能力者の法律行為や、公序良俗に反する行為の効力について、改正による影響はあるのでしょうか。
Q53 意思表示の効力に関する改正
心裡留保、虚偽表示、錯誤、詐欺、強迫などの意思表示の効力に関する民法の規定は、どのように改正されたのでしょうか。営業店での取引実務にはどのような影響がありますか。
Q54 代理に関する改正内容
代理に関してどのような改正がなされたのでしょうか。
Q55 売買契約に関する改正
融資先が設備販売事業を行っているのですが、売買契約に関して法改正による影響はあるのでしょうか。
Q56 賃貸借に関する改正内容
金融機関の店舗賃貸借契約等に関して法改正による影響はあるのでしょうか。
Q57 契約解除の要件
契約の相手方が約束を守らない場合に契約を解除したいのですが、どのような要件を満たせばよいのでしょうか。
Q58 債務不履行による損害賠償請求権
融資先企業が取引先に対して債務不履行に陥って、相手方から損害賠償を求められるような場面について、法改正による影響はあるのでしょうか。
■岩田合同法律事務所 編
A5判・並製・256頁・平成30年8月発行